JAL国内線ファーストクラス刷新レビュー|羽田→伊丹で見えた”特別感”の変化──合理化か、格下げか

「特別な移動」は、4月1日から変わった

JAL国内線ファーストクラスB787座席

2026年4月1日。JALは国内線ファーストクラスのサービスを刷新した。

機内食をお弁当スタイルへ変更。新聞サービスの終了。上着預かりの廃止。そして当日アップグレード料金の見直し。発表された変更内容を見たとき、私の頭に真っ先に浮かんだのは「削減」という言葉だった。搭乗前の率直な気持ちは、「どこまで変わったのかを自分で確かめたい」だった。

改定翌日の4月2日、私はJL125便・羽田発伊丹行きのファーストクラスに搭乗した。噂や予測ではなく、自分の目と舌と感覚で確かめるために。

この記事では、羽田空港での地上動線から機内食の中身、サービスの変化まで、時系列に沿ってリアルにまとめる。結論を先に言えば、「味は良い。でも厚みは、確かに減った」


この記事の結論

  • 搭乗便: JL125 羽田→伊丹
  • 総合評価: 合格点。ただし”ファーストらしさ”の余白は後退
  • 良かった点: お弁当の味と質・食事提供スピードの改善・座席の快適性・接客の芯
  • 惜しかった点: 上着預かりの廃止・おにぎり/プチパンなし・紙トレーの見た目・森伊蔵の消失
  • 向く人: 座席と移動の快適性を最優先にする人
  • 注意したい人: 改定前の儀式感・重厚感を期待して乗る人

羽田空港、過渡期の空気

羽田空港北ウイングファーストクラスカウンター

14時55分発のJL125便に乗るために、私は昼過ぎに羽田空港第1ターミナルへ向かった。

チェックインは北側カウンター。ファーストクラス専用のレーンは空いていて、スタッフの対応は丁寧だった。荷物を預け、案内を受ける一連の流れに、今のところ不満はない。ただ、この地点ではまだ、”変化”の本質には気づいていなかった。

問題が少し顔を出したのは、保安検査場だ。

ファーストクラス利用者向けの北保安検査場へ。スタッフの誘導はスムーズで、レーン自体は空いていた。しかし、ここでPCの取り出しを求められる。「あ、まだそのままなんだ」と思った瞬間だった。JALは今秋以降、羽田の専用カウンターと保安検査場をリニューアルする方針を発表している< 国内線サービスのリニューアルについて>。将来的にはPCや液体物を取り出さずに通過できる環境を整備するという。だが今は、その手前にある。改定後のファーストクラスを語るとき、この「過渡期感」は正直に書いておく必要がある。

 

JAL羽田空港北ウイングラウンジ(工事中)

ラウンジへ向かうと、さらに状況は特殊だった。

 

いつも使う北ラウンジは工事中。スタッフに案内されたのは南ラウンジだ。入口の案内板には「混雑中」の表示。正直、入る前は少し身構えた。

羽田空港ダイヤモンド・プレミアラウンジ(南)

ところが実際に中へ進んでみると、入口付近こそ人が集まっているものの、奥のエリアへ行けばゆったりと座れる席がある。見た目ほど厳しい状況ではなかった。

ソファに腰を下ろし、出発前のひとときを過ごす。ビールを一杯。ラウンジ特有の、あの静かに時間が流れる感覚。ここまでは悪くない。むしろ、南ラウンジの落ち着いた雰囲気は好みだった。

ただし、ひとつ注意点がある。今回の搭乗口は17番。南ラウンジは10番ゲート付近に位置しており、距離がある。のんびりしすぎると移動で焦ることになる。実際、私も「そろそろ動こうか」と腰を上げたのはギリギリのタイミングだった。南ラウンジを使う際は、搭乗口の番号を確認して、少し早めに動くのが正解だ。


搭乗、「優先」は本当に優先…?

羽田空港搭乗口

14時35分、出発の20分前に搭乗開始のアナウンスが流れた。

ファーストクラスの優先搭乗。しかし、主要幹線の一つである羽田=伊丹線の体感としては「優先搭乗?」という表現が正直なところだった。搭乗口周辺にはすでに人が集まっており、ファーストクラス利用者だけが明確に別扱いされているわけでない。ファーストクラス利用者は「搭乗グループ1」JMBダイヤモンド・JGCプレミア・エメラルド等上級ステータスホルダーと同じカテゴリにて優先搭乗できるが、羽田=伊丹線の搭乗者はグループ1該当の利用者が本当に多く優先搭乗のアナウンスと同時に多くの利用客が搭乗していく。そして機内でも後ろから流れ込んでくる状態である。

国内線ファーストクラスにてここまで求めるのは酷な話かもしれない。ファーストクラスの特別感は、食事や座席だけで作られるものではない。搭乗口での一歩、案内の言葉のトーン、自分だけが先に進めるというあの感覚。そういった細部の積み重ねが、「今日は少し特別な移動だ」という気持ちを作り上げる。

 

JAL国内線ファーストクラスB787座席

機内に足を踏み入れると、空気が変わった。

客室乗務員の案内対応は落ち着いていて、席への誘導もスムーズだった。座席に腰を下ろした瞬間、「あ、ここはまだちゃんとしている」と感じた。地上での薄さとは対照的な、客室内の丁寧さ。このギャップは今回のフライトで最も印象に残った体験のひとつだ。

座席そのものに変化はない。国内線ファーストクラス特有の、ゆったりとした横幅。前との距離感。体を預けたときの感触。ここだけを切り取れば、ファーストクラスとしての物理的な快適性は今も健在だ。


離陸、そして短距離便のテンポ

 

JAL国内線ファーストクラスB787座席

扉が閉まったのは14時50分。14時59分にプッシュバックが始まり、15時17分にD滑走路から離陸した。

窓の外、東京湾の上空へと機体が上昇していく。雲の切れ間から、見慣れた東京の景色が小さくなっていく。羽田から伊丹まで、フライト時間は1時間足らず。その短さこそが、今回の改定の”合理化”が生まれた背景のひとつでもある。


リニューアルされたお弁当、その実力と限界

JAL国内線ファーストクラス伊丹線機内食

15時25分、ベルトサインが消灯。そこからわずか3分後の15時28分、機内食の提供が始まった。

今回のリニューアルの注目された点の一つ、羽田=伊丹線での機内食提供方式がお弁当スタイルに変更された部分を確認していきたいと思う。

トレーが目の前に置かれた瞬間、正直「思ったよりいいな」というのが第一印象だった。

改定発表後から、お弁当スタイルへの移行に懐疑的な声は少なくなかった。だから、Yujiもどこかで身構えていた。

蓋を開けてみると、中身の質は想像以上だった。食材の選び方、味付けの丁寧さ、彩りのバランス。口に運ぶと、ちゃんとおいしい。素直にそう思った。

今回の改定を「まずくなった」の一言でまとめるのは、フェアではないと断言できる。食事そのものの満足度は、きちんと存在している。

 

JAL国内線ファーストクラス刷新レビュー|羽田→伊丹で見えた

今回いただいたメニューはこちら


メイン

  • 青森県産チキンのロール トウモロコシのソース 獄きみ
    ケール

アペタイザー

  • キャロットラぺ
    クランベリー
  • ワカメとシラスのキッシュ
    小海老 ミニトマト
  • アピオスと枝豆の煮込み

茶菓

  • ミルクスターサンド りんご/MILK STAR

 

JAL国内線ファーストクラス伊丹線機内食(お弁当)

ただ、食べ終わったあとに気づく。

何かが、足りない。

しばらく考えて、分かった。今まで提供されていた米やパンなどの主食がない。ひとことで言えば「おかず中心のお弁当」なのだ。おかずのクオリティは高い。でも、温かいお米や焼きたてのプチパンが添えられるとき特有の、あの「食べた」という充足感が来ない。身体への満足感と、体験としての満足感。この二つが微妙にズレている。この点は大食漢のYujiにはショックだった。

ファーストクラスの食事に求めるのは、単なる栄養補給ではない。「いいものを食べた」という記憶だ。少量でも、温かいおにぎりが一つあるだけで、その記憶はまったく変わる。あるいはプチパンが一個添えられているだけで、食卓としての完成度はぐっと上がる。

JAL国内線ファーストクラス伊丹線機内食

そして、もうひとつ気になったのが容器の見た目だった。

お弁当の中に、紙のトレーが敷かれている。機能的な問題は何もない。でも、視覚的な印象としてどうしても”チープ”に見えてしまう。味が良いだけに、この一点がもったいない。容器の素材感や内装のひと工夫だけで、視覚的な高級感はぐっと上がるはずだ。ファーストクラスの食事は、口に入れる前から始まっている。

「少量でいいので主食の提供」・「紙トレーのチープさ解消」この2点は、JALに改善を期待したい部分だ。

 

反面、今回の改定がもたらしたひとつのポジティブな変化に気づいた。お弁当スタイルへの切り替えにより、食事の準備と提供がこれまでより早くなっている。以前の温製サービスでは、ベルトサイン消灯後に準備が整うまでに時間を要することもあった。しかし今回は消灯からほぼ即座に提供が始まり、結果としてベルトサイン消灯中に食事をゆっくり楽しめる時間が確保されていた。短距離便においてこれは意外と大きい。食べ終わる前に着陸態勢に入る、という慌ただしさが今回はなかった。

JAL国内線ファーストクラス伊丹線コーヒー

15時40分に食事を終えてコーヒー、15時45分にサービス終了のアナウンス、15時52分にシートベルトサインが点灯。食事から着陸まで、十分な余裕があった。この流れは、以前より落ち着いて感じられた。

 

JAL国内線ファーストクラス伊丹線ドリンク

ドリンクについても少し触れておく。今回の改定で、森伊蔵が提供リストから外れた。焼酎を飲む人にとっては明確なダウングレードだろう。私自身は焼酎を飲まないので、直接的なダメージは薄い。それでも、森伊蔵がJAL国内線ファーストクラスの”象徴”のひとつだったことは間違いない。それが消えたという事実は、サービスの内容を超えた、ブランドとしてのメッセージとして受け取られる。少なくとも、高価格帯路線だけでも象徴的な一本を置くという選択肢は、今後も検討してほしい。


上着預かりの廃止、これは思ったより大きい

JAL国内線ファーストクラスB787座席モニター

今回の改定で、私が最も強く「惜しい」と感じた変化は、上着預かりの廃止だ。

以前のJAL国内線ファーストクラスでは、搭乗直後にCAが自然に「上着をお預かりしましょうか」と声をかけてくれた。これは単なるサービス項目ではなかった。この一言が、「今日は少し特別な移動だ」と気づかせてくれる、最初のきっかけだったのだ。

スーツのジャケットをCAに預け、シワを気にせず座席に深く身を沈める。その感覚は、ビジネスクラスや長距離国際線の体験に近い、一種の”解放感”を伴っていた。それが、なくなった。

実務的な観点からも、この廃止は痛い。羽田から伊丹という路線は、ビジネス客の比率が高い。スーツで搭乗し、到着後すぐに商談や打ち合わせに向かう人も少なくない。コートやジャケットをキャリーバックなどとともにオーバーヘッドビンに押し込むことへの抵抗感は、ビジネス利用者には特に大きい。季節によっては厚手のコートを持ち歩くことになり、ファーストクラスの座席に座りながら「荷物の置き場所」を気にするという、少し残念な状況が生まれる。

 

JAL国内線ファーストクラスA350座席

せめてA350-900国内線ファーストクラスの一部座席に設置されているにコートフックのような代替品があれば、と思う。上着預かりの廃止は、今回の改定の中でもっとも象徴的な変化だったと私は感じている。


“人の厚み”という、見えないサービス

JAL国内線ファーストクラスB787キャビン

今回の搭乗でもうひとつ印象に残ったことがある。

ファーストクラスを担当するCAの人数が、以前と比べて少ないように感じた。確認できる公式情報ではないし、便ごとの運用差がある可能性も十分ある。だから断定はしない。でも、今回の体感として正直に書けば、「人の厚みが薄くなった」という感覚があった。

ファーストクラスの価値は、公式サービスの内容だけでは語れない。たとえばコーヒーを注ぐタイミング。声をかけるトーン。座席を通りすがりにさり気なく確認する視線。これらはサービス項目に明示されていないが、乗客が「ここは違う」と感じる根拠になっている。それを生み出すのは、マニュアルではなく、CAの数と経験とゆとりだ。

接客の質が落ちたという話ではない。今回担当してくださったCAのプロフェッショナリズムは感じた。ただ、一人ひとりが持つゆとりの量が、少し変わったかもしれない。ファーストクラスの”重厚感”の最後の砦は、間違いなく人だ。ここが今後どうなっていくか、注目していきたい。


伊丹線特有の文脈と、今回の搭乗の位置づけ

JAL国内線ファーストクラス伊丹線機内食

羽田→伊丹という路線には、JAL国内線の中でも固有の文脈がある。

実は私の過去搭乗経験では、この路線は改定以前から、他の長距離路線と比べると機内食に差異があった。お味噌汁の提供がなかったり、一部のメニューが冷製で提供されたり、ドリンクがミニボトルでの提供だったりと、もともと「伊丹線仕様」とも言える独自の運用があった。今回の改定はサービス全体の刷新ではあるが、その差異は以前から存在していた。つまり、今回の改定で突然ゼロから落ちたわけではなく、もともとの伊丹線の立ち位置が背景にある。

JAL国内線ファーストクラス伊丹線機内食(お弁当)

そのため、今回の搭乗では「大幅に劣化した」という体験にはならなかった。お弁当スタイルの中身は前評判よりかなり健闘しているし、食材の質も丁寧さも感じられる。この路線をよく知っている人なら、「思ったより悪くない」というのが正直な感想になるはずだ。

ただし、忘れてはならないのは、同時期にアップグレード料金も見直されているということだ(JAL|当日アップグレード料金)。サービスが合理化される一方で、価格が上がっている。この方程式を、乗客はシビアに計算している。「以前より高くなったのに、何かが足りない」という感覚は、品質が下がった場合より、むしろ根強く残りやすい。

今回の搭乗を「合理化」と呼ぶことはできる。そのフレームは間違っていない。でも、「格下げ」という言葉を使いたがる人の気持ちも、十分に理解できる。どちらが正しいかではなく、乗る人がどちらの文脈で捉えるかによって、体験の印象はまるで変わってくる。


変わったもの、変わらなかったもの

JAL国内線ファーストクラス刷新レビュー|羽田→伊丹で見えた

16時07分、伊丹空港に着陸。16時13分に降機が始まった。

降機しながら、今回のフライトを頭の中で整理した。

変わったもの: 上着預かり。新聞サービス。森伊蔵。食事のスタイルとその演出。搭乗時の特別感の重み。

変わらなかったもの: 座席の快適性。接客の芯。食材の質。機体そのものの安定感。そして、食事提供のスピードが上がったことで生まれた、ベルトサイン消灯中にゆっくり食事を楽しめる時間。

この整理が、今回の搭乗の本質だと思う。

JALが今回の改定で削ったのは、ファーストクラスの”機能”ではない。削ったのは”所作”であり”余白”であり”演出”だ。座席に座って、食事を食べて、目的地に着く。その行為自体の質は下がっていない。でも、その行為を包む「儀式感」が、少し薄くなった。

ファーストクラスに乗る理由は人それぞれだ。座席の広さを求める人、食事の質を求める人、接客体験を求める人。今回の改定で、「接客体験」を軸に乗ってきた人には、確実に何かが変わったと感じさせる変化があった。一方で、「座席の快適性」「移動の質」を軸にしている人には、それほど大きな変化には映らないかもしれない。

どこに価値を置くかで、今回の改定の評価は大きく分かれる。私はどちらの気持ちも持ちながら、この記事を書いている。


羽田→伊丹ファースト、乗るべきか?

JAL国内線ファーストクラス刷新レビュー|羽田→伊丹で見えた

最後に、この問いに答えておきたい。

結論:乗る価値はある。ただし、以前と同じものを期待するなら、準備が必要だ。

ファーストクラスの座席快適性と、接客の基礎的なクオリティは今も健在だ。お弁当スタイルの食事は、批判的な前評判に反してちゃんとおいしい。食事提供が早くなったことで、ベルトサイン消灯中にゆっくりと食事を楽しめる時間が生まれたのは、短距離便としてはむしろプラスの変化だ。短距離移動を快適に過ごしたいなら、選択肢として今も十分に成立する。

ただ、改定前の「あの儀式感」を期待して乗ると、何かが足りないと感じる場面が出てくる。上着預かりが消えた搭乗直後、森伊蔵のグラスが選べなくなったドリンクタイム。そういった記憶を鮮明に持っている人ほど、今回の変化は大きく映るだろう。

アップグレード料金が見直されたいま、「この価格に見合う体験か」という問いはますます重要になってくる。私の答えは「まだYes、ただし期待値の調整は必要」だ。

JAL国内線ファーストクラスは、今まさに過渡期にある。地上施設の刷新が進み、サービスの再構築が続く中で、どこに着地するのかはまだ見えていない。今後も搭乗を重ねながら、その変化を追っていきたいと思っている。


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この記事では羽田→伊丹の搭乗体験をレポートしました。

他路線での改定後ファーストクラスの実態については、後日記事でまとめていきます。あわせてご覧いただくことで、路線ごとの差異やサービスの全体像が見えてくると思うので、お楽しみに!

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